March 31, 2017

渡辺豊について―色感と触覚のリアリティ 山村仁志(東京都美術館学芸担当課長)

 渡辺豊の絵画を最初に見たのは、武蔵野美術大学油彩画科大学院のアトリエでだった。そのころの彼は、室内の情景や動物を描いていた。印象的だったのは、色彩と空間の中の表面の豊かさだった。大小多彩な色彩がお互いに響きあい、ハーモニーを奏でていた。
その後、府中市美術館の企画展に出品してもらった渡辺豊の絵画は、ビルに挟まれた空き地や住宅の前庭の構築物を思わせる空間となった。半透明のテクスチャーの感覚が鋭くて、テーブルクロス、壁面、カーテン、レンガ塀などの表面、装飾パターン、筆触が実に生き生きとして、絵画空間を楽しく、騒がしい雰囲気にさせていた。一言でいうと、絵画に見る者の色感と触覚を活性化するリアリティがある。ユーモアもあるし、とぼけたような味もある。
 ここ数年では、クレーを思わせる幻想的空間に変わった。絵画はより平面的に、抽象的に、いささかバロック的になっているように感じられる。渡辺は変わることを怖れない。統一されているようで、抜けがある。完成されているようで、未完成な感触がある。様々な画廊で彼の作品を見に行くたびに、半ば期待が裏切られ、半ば新鮮な感動を受け取る。私は、じれったいような独特の絵画体験を繰り返している。分かったようで分からない彼の作品世界の前で、逡巡し、ギャラリーを彷徨っている自分がいる。いったい、渡辺豊の絵画はどこへ向かうのか?とにもかくにも、私は毎回彼の絵画の色彩と空間表面の豊かさを楽しみにしている。

March 15, 2017

美術手帖 online

1981年生まれの渡辺豊は、東京を拠点に油絵や彫刻を制作。これまでの主な個展に「The good old things is new forever」(switch point、2016)、「Melting land」(JIKKA、2015)、グループ展に「風能奈々 渡辺豊」(TKG Contemporary 小山登美夫ギャラリー、2008)などがある。

 近年は、抽象と具象の中間的な表現が特徴的な絵画作品を多く発表している渡辺。空想的なイメージや有機的な形態を使い、色鮮やかで多層的な絵画空間を表現する。

 本展では新作の絵画作品を発表。東京都美術館学芸員の山村仁志は渡辺を「変化し続ける」ペインターであるとし、近作について、豊かな色彩感覚で構成される「クレーを思わせる幻想的空間」と評する。Maki Fine Artsでは、今回が初めての個展。

April 23, 2017

BY BLOUIN ARTINFO | APRIL 24, 2017

A solo exhibition by Yutaka Watanabe titled "Soft Construction" is on view at Maki Fine Arts, through April 30, 2017. 

This exhibition marks Watanabe's first solo show with Maki Fine Arts. His paintings are known for melding fantastical images with organic forms, wandering the space between abstract and concrete. His new works are stratified; elements of the many color structures gently layered over each other; adding a unique rhythm and tension to his creations. His works have evolved into expressing fantastical spaces that resemble clay, becoming more abstract and perhaps even baroque-esque.

The exhibition is on view at Maki Fine Arts 1F, Kurokawa Bldg, 4 Kaitaicyo, Shinjuku-Ku, Tokyo 162-0802, Japan.

For details, visit: http://www.makifinearts.com

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